モンゴルの子どもの「遊び」と「生活」

 私は、昨年5月にモンゴル族の子どもの生活・健康実態の把握のために内モンゴル自治区の呼和浩特市に行ってきました。「モンゴル」と聞くと小学生の国語に登場する「スーホの白い馬」を思い浮かべ、広大な草原を馬が走る情景を想像するのではないでしょうか?実際は、都市化が進んでいます。広大な草原は存在しますし、その景色に圧倒されたことも確かです。しかし、草原から車で20分の街ではいくつもの場所でスマホが販売され、歩きスマホをする人も多く見かけました。
 モンゴル族の子どもの生活・健康実態はというと、都市部に住む子どもより、草原に近い牧区に住む子どもの方が早寝・早起きであり、どちらの地区も日本より早寝・早起きでした。今後都市化が進み、どのように生活が変化するのか継続した観察の必要性を感じさせます。では、遊びはどうでしょうか?校庭に目を向けると、サッカーをする子、鉄棒をする子、おしゃべりをする子等、遊ぶ姿には大差はないように見えます。校舎を散策してみると、何かを地面に転がして遊ぶ4人組の男の子たちに出会いました。転がしていたものが何か尋ねると「羊の骨だよ」と答えてくれました(写真)。寒い冬には、それを将棋の駒として使ったり、ブロックとして使ったりしながらお気に入りの遊びを地域ごとのローカルルールで楽しむそうです。彼らの遊びを見て、遊びが地域の文化、気候、生活様式の影響を強く受けながら伝承されることを改めて実感させられました。私たち大人は、“現代の楽しさ”を感じる新しい遊びの提案もすべきなのかもしれません。
 

 
日本体育大学大学院博士後期課程 田中良
(2016年度認定講座受講)