教養としてのアダプテッド体育・スポーツ学

齋藤まゆみ編著
大修館書店
 

 「配慮が必要な子どもの指導」という講座を担当しながら、考えてしまうことがあります。それは「配慮が必要ではない子どもっているのだろうか」ということです。子どもは、どのような子どもであっても未熟な存在であり、大小はありますが、配慮が必要で手もかかります。では、配慮が必要とはどういうことでしょうか。子どもは誰しも支援が必要な存在であるとするなら、「特別な支援」を必要とする子どもへの配慮を指しています。
 
 「最初から、障害児といえばいいじゃないか」という声が聞こえそうです。そこでもう一つ踏み込んで、障害を固定化せず、特別な支援を必要とする子ども達に、適切な配慮ができるようになってもらいたいというのが、講座の内容です。障害のある子どもが体を動かすことが楽しい、面白いと思えるためには、指導の経験を積み重ねると同時に、障害への理解、またはその障害に適したスポーツ活動への理解が必要です。
 
 本書は、講座で得た知識をさらに実践的に深め、具体的な障害のある子ども達が必要なスポーツ活動をどのように提供するのか、その実践方法まで開設されています。
 
 どのような子どもを目の前にしても動じない指導者を目指すあなたには必携の本となるでしょう。
 

東海大学教授 内田匡輔