からだの“おかしさ”を科学する
すこやかな子どもへ6つの提案

野井真吾著
かもがわ出版
 
 いつもそわそわしていて落ち着いて話を聞くことができない。姿勢が悪くて背中がグニャっと曲がっている。すぐに「疲れた」と言う。
 
 子どもの運動指導の現場では、どこに行っても当たり前になってしまっているこのような状況。こんな現状に頭を抱えている運動指導者はきっと私だけではないと思います。
 
 そんな子に出会うと、「やる気がない」、「気合いが入ってない」などと気持ちの問題として解釈してしまいがちですが、知識を獲得することによって子どもたちの行動の見え方が変わってくることがあります。
 
 本書では今の子どもたちに起こっている様々な問題にからだの面からアプローチし、科学的なデータを元に解説してくれています。本の中に紹介されている知見をもって、現場で子どもたちの前に立つと、その行動から様々なメッセージを受け取ることができるように、今まで見えなかったものが見えるようになってくるのではないかと思います。
 
 「“いつもそわそわ・背中グニャ・すぐ疲れた”の子は、大脳前頭葉に原因があったのか!」と分かると具体的な解決策も見えてくるはずです。
 
「子どもたちが自らのからだで発信しているメッセージの実体を、可能な限り単純化する」というのがこの本のテーマです。科学的に明らかにされた事実を追求することは、より科学的な実践につなげるのに大いに役立つことと思います。
 
駿河台大学非常勤講師
小田俊一 (2011年度認定講座受講)