Boys, be ambitious like this old man!

 この春から60歳代のシニアサッカーに参加している。毎週土曜の17時から19時頃に約30人がめいめいの体力や技術で相応に楽しんでいるが、もともとのわんぱく少年の集まりなので試合になるとガチンコで火花も飛び散る。私もすでに3回も顔面にパンチを食らった。もちろん反則であるが、急の動きについていけず、お互いに手や腕が当たったりする。こんな場面があっても、よく整備された天然芝のピッチで少年のように楽しむのは心地よい。
 青少年教育振興機構の大人5千人に対する後ろ向きコホート調査では、子どもの頃に地域清掃に参加したり、チャンバラなどの「~ごっこ」遊びをしたり、夜空の星を眺めたりした人たちほど、大人になっても、困った人を助けてあげたり、友人関係がよかったり、一方でチャレンジャブルな気持ちを持ち続けていることが統計的に示されている。また、子ども1万人に対する調査では自然体験の豊富な子どもほど道徳心や正義感についてのスコアが高いことが示されている。
 子どもの頃の体験は、その後の長い大人時代をどう過ごすか、送ることができるかにかかっているといっても過言でない。人工的環境や電子機器に囲まれ立体感の乏しい生活の子どもたちの将来が心配である。
 現代社会の子どもたちが60歳を過ぎても子どもの心を持ち続けて人生を送ることのできるために、多様な経験をさせてあげることが、大人に求められていると思う。
 ウイリアムクラーク博士の有名な言葉「Boys, be ambitious」の後には「like this old man(この年老いた男のように)」が続いている。子どものように屈託なくサッカーをする60歳代のチームで、来週も夢中になってボールを追いたい。
 

静岡産業大学 教授 小澤治夫