子どもから、おじいちゃん・おばあちゃんまで3世代に渡って実施できるような運動は何かありませんか?

 世代を問わず、性別を問わず実施でき、高い運動効果が期待できるものの一つにノルディック・ウォーキングがあります。ノルディック・ウォーキングは、冬季オリンピックの種目でもあるクロスカントリースキーの夏場のトレーニングとしてはじまりました。クロスカントリースキーのように、2本のポールを使って歩きます。ノルディック・ウォーキングでは、大きく分けて2通りのポールの使い方があります。一つは、クロスカントリースキーと同じように、ポールを斜め後方について地面を押すことで、前方への推進力を得ながら歩く方法です(図1)。もう一つは、ポールを前へ立てて杖のような役割を持たせ、体を安定させながら歩く方法です(図2)。前者はアグレッシブスタイル、後者はディフェンシブスタイルと呼ばれています(他にも様々呼び方があります)。アグレッシブスタイルでは、地面を意識的に押しながら歩くため、腕の筋活動が高まります。また前方への推進力を得ながら歩くので、歩く速度が速くなり、歩幅も広がります。結果としてエネルギー消費量が高くなります。普段のウォーキングよりも強度の高い運動をしたい方にお勧めです。一方ディフェンシブスタイルでは、歩行時の安定性を高め、転倒リスクを軽減しながら歩くことができます。また歩行の左右バランスを改善する効果もあるといわれています。歩行に少し不安がある方にお勧めです。
 就学前のお子さんでも使えるような短いポールも販売されています。健康に問題のない方はアグレッシブスタイルでのウォーキングを実施してみるとよいでしょう。おじいちゃん・おばあちゃん世代の方は、体の状態に合わせて歩き方を選択してみるとよいと思います。森林へピクニックに出かけるのもよいですし、家の近所を家族3世代で歩くのもよいかと思います。四季折々の草花を楽しみながら、また会話を楽しみながら実践してみてください。


 
(回答者)
東京大学大学院 総合文化研究科
特任准教授 福崎千穂