幼児期の運動遊びをリードするときに心がけていること

 

 私は、学生時代に当法人が主催している幼少年体育指導士認定講座において資格を取得した第一期生です。認定講座では、子どもの体力・運動能力の低下をはじめとした、からだやこころの問題における解決の糸口を理論と実践から学びました。大学卒業後、社会福祉法人葛飾福祉館にプレイリーダーとして採用され、文部科学省が策定した「幼児期運動指針」に関する事業において、山梨県南アルプス市、島根県雲南市、北海道標津町等の幼稚園や保育園に在園する園児や親子を対象として、運動遊びの提供や普及活動に取り組んできました。その後、大学院で幼児期の運動遊びに関する研究に励み、現在は社会福祉法人葛飾福祉館東立石こひつじ保育園に勤務しており、4歳児の担任をするとともに、当園のプレイリーダーとして幼児を対象に運動遊びのリードをしています。今回は、そんな私が運動遊びをリードする上で心がけている3つのポイントを紹介させて頂きます。
 まず、一つ目は、「教える人」ではなく「こころを動かすことに懸命な人」であることです。遊びとはやってみたい、なってみたい、こうしてみたいという衝動や感動から生まれます。そして、遊びを通じた学びや育ちは、大人に教わり指導されるのではなく、遊び込む中で自ら感じ得るものです。そこで私は「こころが動けばからだが動く」を合言葉にして運動遊びをリードしています。
 二つ目は、遊びや活動は「届けて」「子ども達のものにする」ことです。本来、遊びや活動は子ども達のものです。そこで私は、いつまでも指示を出して子どもを動かすのではなく、子どもの動きや表現を引き出していくことや、遊びや活動から身を引き、見守ることに重きを置くようにしています。
 三つ目は、指導の前に「環境」と「自由感」を保障することです。日本の幼児教育の父と呼ばれている倉橋惣三は保育のあり方について「先生が自身、直接に幼児に接する前に設備と自由感を持って保育する、その設備にこそ先生の心が隠れている」、「教導というものは最後にあって、むしろちょっとするだけのことである」と述べています。運動遊びにおいても同じことが言えるのではないでしょうか。そこで私は、子どもが遊びを自己決定できる環境構成と環境に対して自由感を与えることを大切にしています。
 以上の3点が、私が運動遊びをリードするにあたり心がけている内容です。健やかな子どもの育ちを願って、皆さんが子どもに運動遊びを指導するにあたり、少しでも参考になることがあれば幸いです。
 
出典:倉橋惣三(2008)津守真・森史郎編,幼稚園真諦,pp32-33,pp49,フレーベル館
 

社会福祉法人葛飾福祉館
東立石こひつじ保育園 堀内 亮輔